開咬(オープンバイト)
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ここでは、開咬(オープンバイト)の特徴や原因、矯正方法について紹介していきます。
開咬(オープンバイト)とは
開咬とは口を閉じて歯をかみ合わせた際に前歯がしっかり閉じず、隙間ができたままの状態のことを言います。医療業界では「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれる症状の一種です。歯が正しくかみ合わせられない状態が「不正咬合」と呼ばれています。奥歯は問題なくかみ合っているものの、前歯だけ閉じられない開咬は様々な問題を引き起こす症状です。中学生~大学生に多くみられ、10人に1人は開咬であると言われています。
- 歯をかみ合わせたときに口が閉じない
- かみしめた時に奥歯に比べて前歯がかみ合っている感触が少ない
- 子供のころ、おしゃぶりを長く使用していた
- 発音・活舌が悪い
以上の項目に複数当てはまる方は要注意です。歯並びの悪さが原因かもしれません。放っておくと、今後さらに症状が進行してしまうことが考えられます。早めに矯正を開始して治療するようにしましょう。
原因
不正咬合の原因はいろいろありますが、大きく分けて先天的(生まれつき)なものと後天的のものがあります。
先天的なものとしては、歯の数や形あるいは上唇のすじ(上唇小帯)や舌のすじ(舌小帯)の異常、唇顎口蓋裂(みつくち)のような先天的疾患や遺伝的などがあります。舌小帯の異常は開咬を引き起こすことがあります。
また、最近は硬いものをあまり食べないので顎が退化する傾向にあり、そのために歯が並びきらず、乱杭歯になる子供が増えているとも言われています。
後天的な原因も様々ですが、中には普段から注意すれば防げるものもあります。
たとえば、乳歯が虫歯などによって早く抜かれてしまった場合、後ろの歯は前へ移動する性質があるため、これからはえようとする永久歯のはえるすき間がなくなり、乱杭歯や八重歯になってしまいます。
対に正常な歯の交換期を過ぎても乳歯が抜けずに残っていると、後ろからはえる永久歯が他の場所に生えざるを得なくなり、やはり歯並びは悪くなります。
子供の指しゃぶりは2歳頃までは特に異常とは言えませんが、幼稚園や小学校に入っても続けていると開咬の原因になります。唇や衣類を咬む癖なども同様な不正咬合を引き起こします。
また、つばを飲み込む時やしゃべる時に舌を突き出す癖も開咬の原因になります。
このような幼児期や学童期の口のまわりに関係する癖は見過ごされやすいものですが、気を付けてあげたいですね。
また、鼻づまりや扁桃腺・アデノイドの肥大のため、いつも口をあけていると上顎前突や開咬になることもありますので、耳鼻科的疾患も見逃すことはできません。
開咬(オープンバイト)を放置するデメリット
歯がしっかりかみ合わない不正咬合の症状の中では、開咬は比較的問題が少ない症状。しかし、開咬ならではのデメリットがあり、放置しておくのは危険です。
どういった問題が起こるのかを具体的に紹介していきます。
口呼吸が多くなる
前歯をしっかり閉じることができないと口も開きがちになります。自然と口呼吸も多くなり、就寝中のいびきの原因やのどの乾燥による炎症、感染症を引き起こしやすくなってしまいます。ドライマウスにもなりやすくなるため、注意が必要です。ドライマウスになると唾液の量が減ってしまい、口が乾きやすくなってしまい口の中の細菌が増殖。口臭の原因となるばかりか、味覚を感じにくくなることもあるようです。軽度であれば口の中がネバネバするといった自覚がありますので、気づいた時には早めの治療をおすすめします。
奥歯への負担が増える
隙間が生じる前歯では物を噛む機会が少なくなり、その分奥歯に負担がかかります。奥歯は消耗を続けることになって、早い段階で抜け落ちてしまうそうです。奥歯への負担が増えると顎関節症の原因にもなります。さらに、顎関節症が悪化すると頭痛や肩こりの原因にもなるため、要注意です。
口呼吸が多くなる
発音障害を引き起こす
前歯がしっかり閉じられないと発する声にも影響してきます。舌足らずのしゃべり方とよく言われますが、発音が正しくできない原因は舌ではなく、歯並びによるものかもしれません。とくに「さ行」の発音が悪くなります。子供の場合、将来のことを考えると素早い対応がカギとなるでしょう。
消化器官への負担
しっかりとかみ合わない前歯では、食べ物を十分に噛むことができません。上手に咀嚼できないまま飲み込んでしまうと、胃腸への負担が増えてしまいます。胃腸に負担をかけすぎると、さまざまな病気を引き起こすことも…。かみ合わせが悪いだけだと思っていたのが、思わぬ不調を招く結果につながりかねないのです。
矯正方法
子どもの場合、開咬の原因となる指しゃぶりや舌の癖を早い時期にとりのぞき、矯正治療で歯の並びを整えます。放っておくと虫歯や歯周病に罹患しやすくなりますので、早期に治療したほうがいいようです。
大人の場合も治療はできますが、多くは抜歯が必要であったり、場合によっては手術を併用したりして治します。
治療には歯列矯正が一般的ですが、矯正には1年以上の治療期間がかかります。全体的な矯正が必要でない場合や歯の色や形も気にされている方、時間があるのなら、トータルで審美的に治療できるセラミッククラウン法(差し歯)がおすすめです。
上下の全体をきれいにされたい場合には歯列矯正のほうがが良いでしょう。
目立たない装置(半透明でクリアーな装置)を使用した場合、2~3年の治療期間が必要となります。遺伝や顎の骨の形態異常により起こる乱杭歯の場合、外科的矯正(骨切り)になることが多いそうです。
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