痛くない矯正

歯並びのコンプレックスを解決する歯列矯正ですが、何だか痛そう…と思われていませんか？最近では、デーモンシステムやクリアスナップと呼ばれる矯正装置やワイヤー矯正よりも痛みを感じにくいマウスピース矯正というのもあります。
ここでは、治療時の痛みの種類や痛みにくい治療方法について詳しく解説していきます。

治療時の痛みの種類

歯の矯正にはいくつか段階があり、従来の矯正方法だと治療の段階ごとに痛みが発生してしまいます。治療中にどのような痛みを感じるのか、矯正の種類と共にまとめました。

1. 矯正バンド設置による痛み
   歯を正しい位置にもっていくためには、矯正バンドの装着が必須。セパレーターと呼ばれる隙間をつくる装置を歯と歯の間に押し込む際、大多数の人が痛みを感じます。装置になれていないと、2～3日は違和感とともに鈍痛が続く恐れが。矯正することで起こる歯の移動によって、装置を調整するたびに痛みを感じ、約1週間程度で痛みは引いていきます。
2. 歯が動く痛み
   矯正は装置を着用して、歯を正しい位置に移動させる治療です。歯が動いたことで歯肉や骨が圧迫され、それにより引き起こされた炎症が引き金となって痛みを発します。鎮痛剤の服用は問題ありませんが、鎮痛剤に含まれている炎症を抑える成分が歯の動きを悪くして矯正治療に影響がでる可能性もあるので注意が必要です。個人差はありますが痛みは約1週間程度で引いていくので、薬の服用はどうしても我慢できない場合に留めましょう。
3. 舌や唇への痛み
   治療の装置が舌や唇に当たると、炎症を起こすことがあるので要注意。酷い場合だと口内炎ができることもあります。装置に触れることが多い舌や歯は、清潔に保つことが大切。
   摩擦の痛みは人体に影響がないホワイトワックスで抑えることができます。装置になれてくると、ホワイトワックスを使わないで済む人がほとんど。本当に必要かどうかを医師に確認して上手く利用しましょう。

痛みの度合いにはもちろん個人差がありますが、多くの矯正治療では痛みは付きものと考えて良いでしょう。

痛みを和らげる治療方法

ケガや炎症を予防するもの

矯正中に起こりやすいケガや炎症を予防するために効果的な装置が2つあります。どんな装置があるのかまとめてみました。

1. ワックス
   装置が動くと摩擦によって触れている部分に痛みが発症。そのまま放っておくとケガをする恐れがあるため、少量の透明ワックスをつけて摩擦を防ぎます。ワックスは装置が外れた際の応急処置として利用できる優れものです。
2. リップガード
   矯正装置に物が当たると痛みを感じてしまうので、リップガードを使用して装置に直接物が当たるのを防ぎます。医療装置としての役割のほか、管楽器を演奏している方には必要不可欠なものなので、一般的にもよく使われているポピュラーな装置です。

痛みが出にくい装置

矯正装置の種類は色々とありますが、その中でも痛みが出にくい装置があります。今回は2つに焦点を当てて調べてみました。

1. 形状記憶ワイヤー
   理想の歯並びを形状記憶合金に記憶させて使用するもの。ゆっくりと歯に合わせて動くので、従来の装置に比べて激しい痛みに襲われることはありません。
2. セルフライゲーションシステム
   歯の摩擦による痛みを軽減するために考えられたシステム。従来の矯正装置はワイヤーと歯を固定するために結紮（けっさつ）リングやゴムを使用していましたが、セルフライゲーションではワイヤーに直接歯を留めるため、リングやゴムが必要ありません。歯に当たる装置が少なくなったことで、痛みが従来の装置より軽減されています。

痛みが出た場合にやわらげる治療

歯の矯正によって発生する痛みを軽減させる治療が3つあります。

1. レーザー治療
   炎症がひどくなったことで痛みが生じた場合に用いる治療。歯茎にレーザーを当てて炎症を抑え、血行を良くして痛みを軽減させます。
2. 高周波治療
   口内の消毒・殺菌を行なうことで痛みを鎮静。高周波治療の特徴として、自然治癒力を活性化させることが挙げられます。
3. 鎮痛剤
   簡単かつ手間のかからない方法。鎮痛剤を服用することで、痛みを軽減させることができますが、鎮痛剤に含まれている成分は歯の動きを悪くしてしまうため、服用には十分な注意が必要です。

痛くない矯正で使う装置について

矯正治療といえば、かなり痛みを伴うものだというイメージもあるのではないでしょうか。

ですが、できるだけ痛みを感じずに済むように、さまざまな装置が開発されています。 代表的なものを見ていきましょう。

マウスピース型矯正

矯正治療において痛みを和らげるためには、「歯に力をかけすぎない」という点がポイントとなってきます。そのため、とにかく痛みの少ない矯正治療を受けたいという場合には、マウスピースによる矯正治療も一つの選択肢として挙げられます。

例えばインビザラインの場合には、1ヶ月で動かせる歯の移動量は0.25mmと定められているため、一気に大きな力を加えることがありません。マウスピースを交換しながら徐々に動かしていくため、必要以上の力がかかることがなく、痛みを抑えながら矯正治療が可能になります。
また、薄いプラスチック作られたマウスピースを使用するため、口の中を傷つけにくいという意味でも痛みを抑えられる矯正治療の方法であるといえるでしょう。

デーモンシステム

デーモンシステムとも呼ばれるもので、アメリカのドワイトデーモン医師によって開発されました。

新しいに矯正システムとなっていて、大きな特徴はワイヤーとブラケットを弱い力で結ぶということ。

強い力で結んだ場合に痛みが発生しやすいのですが、この問題を解決しました。治療を開始してから比較的速い段階で歯がうごくため、治療期間が短く済む方も多いです。
また、使われているワイヤーが非常に細いのも特徴。形状記憶合金を使用するのですが、歯茎の中にある毛細血管を圧迫する力が弱いため、痛みも感じにくいです。

クリアスナップ

クリアスナップとは、痛みのない治療として注目されています。これはクリアブラケットに結紮用アタッチメントを装着する方法となっていて、従来の方法とは違ってワイヤーによる結さつがありません。

また、締め付けがなくなったので、矯正器具による摩擦がなく、痛みを抑えられる方法だといえます。

矯正をする際にどれくらいの痛みを感じるかというのは、状態や利用する装置などによっても変わってくるのですが、中には矯正している最中に歯が痛くてご飯が食べられないといった深刻な悩みを抱えてしまう方も。

特に痛み弱い方にとっては大きな問題になってくるので、できるだけ痛くない矯正で効果を出したいですね。

痛くない矯正治療を安心して任せられる医師の実力とは

矯正は、歯を少しずつ動かすわけですから、全く痛みを伴わない治療は難しいといえます。

ですが、医師の実力次第でできるだけ痛みを抑えることが可能です。

できる限り痛みの少ない治療を施してきた経験の豊富な医師を選びましょう。日本矯正歯科学会認定医、または専門医の資格を持っている医師を目安に選んでおくと良いですね。

医師の中には、矯正治療は痛いのが当たり前と考えている方もいるようなので、痛みに対しどのような取り組みをしてくれているのかよく確認した上で決めたほうが安心です。
経験豊富な医師の方が多くの患者さんの治療実績があり、どのような時にどれくらいの痛みを感じるのか、痛みを抑えるにはどうしたら良いのかを理解しているため、実績を重視しましょう。

その矯正歯科で治療を受けた患者さんの口コミ情報も医師の実力を判断する一つの参考になります。